空手は技だけでなく、日常を、人生を創る。
武道を通して未来を担う子どもたちを強く育てる。
「無門会空手」の福岡県本部道場として常設道場を構え、自由に練習ができる本格的な空手道場が大木町にあります。空手道場といえば、少々敷居が高いようなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、この道場はさにあらず。
28年前にたった1人からはじまり、現在、門下生200名にまで成長。入門者は3歳から60歳までと年齢も様々で、それぞれの目的やペースに合わせた6つのコースで、だれもが無理なく楽しみながら練習に励んでいます。
世界中から入門者が後をたたない「無門会空手」
その常設道場が大木町に!
日本国内の空手愛好者は200万人以上、世界では1億3000万人以上といわれ、世界中で愛されている武道、空手。
空手と一言でいっても流派、会派は様々にあり、それぞれの理念のもとで研鑽を積んでいます。
NPO法人武道アカデミーの主宰する「無門会空手」とは、武道家・富樫宜資(とがしよしもと)十段によって設立された会派。どこの流派にも属することなく山ごもりで己を鍛え、最大規模の空手団体である極真空手に挑戦し、全国大会で上位入賞を果たしたという富樫十段の逸話は、あまりにも有名です。
無門会空手の特徴は、単に攻撃を競い合うのではなく、「隙が無い」 「(相手が)攻撃ができない」という戦いのスタイルにあります。これは受け技の技術が優れてないとできません。
「受け技を磨くことは攻撃技以上に難しく大変なことなのです。受けができると、相手の攻撃を受けられる。それがうまくできるようになると、人間的にも強くなれます。人に勝つということ以前に、心構えが磨かれるんです。」
と語るのは、理事長の古川恭司さん。
この道場で空手を学んでいる子ども達は、普段の生活では概して温厚で優しい子が多いのだそうです。それは、稽古を通して無門会の極意である「受け」を体得することで、人間的にも人の攻撃を上手く受ける術を身につけるから。
空手の稽古に真剣に取り組むことが人生全般に大きな意義を持つことを、日々の稽古を通して子どもたちが実感するようになるのです。
目的に合わせた6クラスで無理なく稽古
子どもたちには無料送迎バスも。
道場には、楽しみながら身体能力を高める「キッズクラス(未就学児)」、成長に応じた体作りと技術習得ができる「少年部(小・中学生)」、シェイプアップやストレス解消にも役立つ「レディースアドバンスクラス」「ソフトクラス」、本格的に学びたい人向けの、「ビジネスマンクラス」「一般部」があり、老若男女問わずだれでも無理なく稽古をすることができます。
うれしいのは、少年部以上は原則的にどの時間帯でもフリーで練習に参加できるということ。月曜〜土曜は午前中のクラス、平日は16時〜22時、土曜日は終日なにかのクラスが開講されているので、クラスに応じて自分の都合のつく時間帯を自由に選んで練習に参加できるのです。
例えば、子どもたちは週に1〜6回、希望に応じて、楽しみながら、時には歯を食いしばりながら稽古で汗を流します。また、キッズクラス、少年部には送迎バス(無料)もあるため、保護者が送り迎えに追われる心配もありません。
大人も、肉体的な健康増進の一環として取り組んだり、ストレス発散、護身術として、もちろん全国大会を目指して本格的に無門会空手を学ぶことも可能です。
この整った自由なシステムのおかげで、門下生たちは、わずかな時間でも稽古を積み重ねることができます。その弛まぬ「継続」の結果、無門会空手が体力的にも精神的にも成長できる総合力を備えていると実感し、さらに日々の研鑽を積むことができるのです。
「空手と命は同じ」
夢を掲げ人生をかけて空手を広める。
武道アカデミーの代表である、古川さんが武道を始めたのは17歳の時。「男として強くなりたい。武道というものを極めていきたい」との思いから、どんどん空手にのめり込んでいきました。高校卒業後もその思いはますます強くなり、空手が思う存分続けられるかどうかが仕事選びの条件になるほどに。その結果、就職後も練習時間6時間をキープし、空手一筋に没頭していきました。
当時、古川さんが自身で掲げた夢は3つ。「全日本で優勝して日本一になる」「自分の道場を持つ」「門下生を持ち、空手を広めていく」でした。
古川さんは、こつこつと努力し続け、それを全てクリアしたといいます。
25歳で自分の道場(体育館)を持った時は、たった一人でのスタート。そんな中でも、31歳の時には無差別級の全国大会で優勝を果たし、現在、数多くのチャンピオンを輩出する全日本トップクラスの道場にまで成長を遂げました。
しかし、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。
経済的ベースの仕事をリストラされ、35歳で常設道場を開いた時は、家を新築してわずか1年目、4人目の子どもが生まれる2ヶ月前のことでした。周囲からは無謀とも思えた決断でしたが、古川さんの人生と空手は決して切り離せないものでした。
地元の体育館を借りて最初は自分一人で道場をスタート、そして会社リストラ後は、朝3時に起床してキノコ、野菜等の配達をして生活を支えながら、黙々と空手修行に励む生活でした。その後、口コミで徐々に生徒が増えていき、自宅の庭を道場にして2年の後、2003年には現在の場所に念願の道場を設立、いつでも空手の練習ができる珍しい常設の道場として広く認知されることになりました。
ところが、順調に進んでいた道場での日々に暗雲が立ち込めることになります。2015年、古川さんは突然多臓器不全で倒れ、余命数ヶ月の宣告を受けたのです。
「空手と命とどちらが大切ですか」と訊き治療に専念することを勧める医師に、「命と空手は同じです」と迷うことなく答え、絶対に治すと意気込んだ古川さんでしたが、徐々に体はいうことをきかなくなり、とうとう起き上がれなくなり、体の機能はあっという間に衰えていきました。
そんな時、道場を守ってくれたのは、古川さんの次男と三男の二人でした。命をかけて空手に打ち込み、道場を守ってきた父親が姿を見て育った息子たちが、父不在の間の道場を守ると言ってくれたのでした。
道場を二人の息子に託し、2度の入院を経て古川さんは奇跡的に生還。生死の境をさまよった重篤な症状を物語るように、一級の身体障害者となり体に不具合は残ったものの、それでも古川さんは道場に戻ってきたのでした。
重い腎不全のため汗をかく他に自力で水分を体外に出せないため、古川さんは、毎朝トレーニングをして汗を流し、体、内臓の水分を抜いてから道場に赴きます。
「なくしたものを見るのではなく、与えられている方を見て、自分が生かされていることの意味を考えるようになりました」
と、静かな目で語る古川さん。そばで父を支える息子さんたちの誇らしげな笑顔が印象的でした。そうして、いつもの通り空手に没頭する一日が始まるのです。
九死に一生を得たことで見つけた4つ目の夢
未来を担う子どもたちに命の大切さを伝える。
道場を開いた時に掲げた3つの夢にもう一つの夢が加わり、今、古川さんが情熱を注いでいること、それは、空手を通して未来を担う子どもたちに命の大切さや、人間としてどう生きるべきかを伝えていきたいということ。
「子どもたちは未来の社会を作っていく宝です。空手の魅力は全身運動であり、礼儀作法も身につき、精神面が鍛えられることで、自分に自信も持てるようになります。子どもたちを心身ともに強くし、人間としての幹を太く育てることが、これからの自分の使命だと思うようになりました」
そのために、道場での空手の普及はもちろんのこと、武道を通して教育に携わりたいと意欲的です。その一環として、7年前から携わっている中学校での武道の授業にも、一層力を入れたいと考えています。
さらに、日常生活の身体動作、例えば歩き方や姿勢を整えることから体作りも精神も、生き方さえも整えられることを、道場や学校教育を通して自ら情報発信して伝えていきたい、と夢は無限に広がっていきます。
空手を通して、未来を担う子どもたちに、そして社会に貢献したい。そんな熱い志のもとに、今日も多くの生徒たちが道場に通ってきます。
(取材日2018年9月27日)
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・中学校での武道授業実施。
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