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Tシャツやバッグなど、既製品全般にプリントを施してオリジナル商品を作り出す「オオキマチベース」。
「自分だけのオリジナルTシャツをカッコ良く作りたい!」「部活やサークルのグッズを揃えたい」、そんな人におすすめしたい工房です。
田園地帯に佇む民家の倉庫。何があるのかワクワクするような誘導の矢印にしたがって2階への階段を上がっていくと、目指すオフィス「オオキマチベース」はありました。
皮張りのソファを囲むように、見本用のTシャツ、バッグ、キャップなどがずらりと並び、一見ショップのようで、カフェのようでもあります。奥には作業用のデスク、プリント機材、そしてシックなグリーンの壁面にはギターがディスプレイされ、ロックが流れる室内は、さながらガレージの隠れ家といった様相です。
迎えてくれたのは、代表の中島伸吾さん。このオフィスは、物置だった実家の古い倉庫を中島さんが一からオフィス仕様に造りかえて完成させた自慢のスペースなのです。
絵を描くことが好きで、高校時代も授業中ずっとノートにイラストを描いていたという中島さん。福岡市のデザイン専門学校に進学して本格的にグラフィックデザインを学び、卒業後はアパレル関係の会社に就職しました。その後、結婚を機に大木町にUターン。八女のオリジナルプリントグッズ製作会社に18年間勤務してシルクスクリーン印刷一筋20周年を迎え、満を持して独立。2020年、「オオキマチベース」を立ち上げたのでした。
同社は、印刷物にインクを落として乗せていくシルクスクリーン印刷でプリントをしています。シルクスクリーン印刷は、使う色の数に応じて版を作成する必要があり、例えばプリントに2色使いたい場合は版が2つ必要になるという具合に、色が増えると同じだけ版が増えていくという手間暇のかかる手法です。
シルクスクリーン印刷の一番のメリットは、印刷物に直接色を乗せていくので希望の色を再現しやすく、鮮明に印刷されること。また、通常、プリントでよく使われる転写に比べてプリントが剥がれにくいことも特徴です。
クライアントは、シルクスクリーンの設備を持っていない同業他社や、企業が大半を占めますが、評判が口コミで広がり、最近は個人のオーダーも増えてきているのだとか。
最近は、還暦や出産祝い、卒業記念などでオーダーする人も多く、家族や友人とお揃いのグッズを作る人が増えてきたそう。
オーダーの流れは以下のようになっています。
① 打ち合わせ
デザインの完全データ持ち込み(デザインから依頼したい場合はデザイン料5000円別途。修正料3000円)。
1枚1色1カ所/Tシャツ3000円、パーカー4000円〜、1色追加ごとに+1500円。
② フィルムを出力してシルクスクリーンで製版
③ プリント作業
色を決めてインクの調合をして揃える。
④ 完成
「完全データがなくても大丈夫です。デザインしたいものがあれば、写真でも手書きの絵でも、なんでもいいので気軽に持ってきてみてください。相談に乗りますよ」
と中島さん。古着が大好きで、ビンテージ風のデザインが得意な中島さんが作るTシャツやグッズは、シンプルな中にも遊びゴコロがあり、気軽な普段着にもお洒落にも着れると評判です。
また、大木町に戻ってきて地域に関わるようになってから、「街をイメージできるデザインはないか」と考えるようになった中島さんは、町の形を人の横顔に見立てたデザインを考案。
Tシャツやバッグなどに印刷された大木町オリジナルロゴは実にカッコよく、大木町ブランドのイメージづくりにも一役かってくれました。
2020年にオフィスをオープンし、自分のペースで好きな仕事ができることに充足感を感じているという中島さん。実生活では、仲間と結成したロックバンドでギターを担当しつつ、4人の子どもの良き父でもあります。
「いつか、僕がデザインした大木町のTシャツを、他県の人が着てくれるようになって、そんな人たちに通りでばったり出会えたらうれしいですね。それから、子どもを通して、地域と関わる機会ができたので、町の子どもたちにここで職場体験をしてもらえるようにしたい。こういう仕事があるということを知ってもらい、将来への選択肢や可能性を広げる一助になれれば」と、町づくりに寄せた夢を語ってくれました。
オフィスに流れるごきげんなロックのように、日々モノづくりの楽しさを感じつつ、
その名の通り「大木町の基地」として発信し続ける場所でありたい。そんな熱いエネルギーに満ちたオオキマチベースです。
(取材日2020年12月1日)