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土木建設機械の部品製作を行う株式会社牟田鐡工。
トンネルを掘る掘削機の部品製造を始めとする、O E M生産(受託生産)で確かな実績を築いてきました。
曽祖父の代からの鉄工業で機械を動かし
人々の生活をより快適に。
代表取締役の牟田純大(よしひろ)さんは、曽祖父の代から代々大木町で鉄工業を営んできた牟田鐡工の4代目として2016年に社長に就任しました。
同社は、建設機械の部品製作やトンネル工事のための掘削機の部品、採石場から出てきた大きな岩を砕く粉砕器(クラッシャー)や、ふるい(バイブレーター)を製造しています。
大木町といえば、ゴミリサイクル率 60%以上で全国6位の実績を誇り、ゴミ廃棄に対する意識の高い町として注目されていますが、牟田鐡工では、そんな町のゴミ処理場で使われる大型シュレッダーも製造しているのです。
創業者である牟田さんの曽祖父は、元々は農機具を作る鍛冶屋だったといいます。その昔、東洋一の金産出量を誇ったことで名高い、大分県日田市の鯛生銀山で使った掘削機も曽祖父が製造したことが記録に残っていることからも、同社の信頼と実績がうかがえます。
また、堀の多い大木町では、毎年堀の水を抜いて掃除をし、堀の底に日の光をあてて乾燥させる「堀干し」という行事があります。
小学校で堀干しの行事が行われる際には、今でも、かつて牟田さんの祖父が独自に製造した、堀の底の泥を除去する機械が使われているのです。
そんな会社の歴史を一つ一つ語ってくれた牟田さんは、とても誇らしげ。代々続いてきた家業に対する誇りと、尊敬の念が感じられます。
鉄工業といえばあまり馴染みがないと思いがちですが、実は私たちの日々の生活と密接に関わっているのです。
小さなネジから大型機械まで
鉄に向き合うプロ集団として。
牟田さんは子どもの頃から父の仕事を見て育ってきたため、鉄は日常の中にあったといいます。自然な流れで工業系の大学へ進学し、牟田鐡工に就職。父の背中を見ながら、仕事を学んできました。
大手企業からのO E M生産(受託生産)が業務のメインで、小さなネジ1本から機械の重要な部品、大型の機械まで、幅広くきめ細かく製造しています。
「一本のネジ、小さな部品一つとっても、その部品がなければ機械は動かないんです。ですから、いつも重要な役割を担っているという誇りをもって仕事をしています。やりがいのある仕事ですよ」と、牟田さん。
その時々でオーダーに応じて機械の設定を変え、毎日違うものを作っていくので、刺激もあります。工場で稼働する機械を自在に操り、長年この仕事に従事してきた熟練の職人2名とともに鉄に向き合う、プロ集団です。
取材時の牟田さんはすっきりとブラックでまとめたモノトーンのスタイルで、服装もスタイリッシュ。聞くと、牟田鉄工では作業しやすい好きなスタイルで仕事ができるのだとか。
「製造業というと、汚いとか仕事がきついというイメージがありませんか?でも、今この業界も大きく変わってきているんです。専門性が問われるのはもちろんのことですが、その分、扱える機械が増えれば職務手当がつきますし、給料も悪くない。土日祝日は休みで、残業もありませんから、実は悪くない職場環境が整っているといえます。それだけではなく、モノづくりに興味のある人なら、市販していないものを作る楽しみもあるんですよ」と、仕事の魅力を語ってくれました。
「ないものは作る」
自由な発想でもの作りに向き合う。
「市販していないものを作る」。それは、買えないものを作るということ。
牟田鐡工には、時々、もう製造されていない工業用のミシンのネジや廃盤になったバイクの部品などを作ってほしいという問い合わせがあります。
そんな時、牟田さんはその製品や使っている部品の形状まで徹底的に調べ上げ、ピッタリの部品を作るといいます。そのままでは使えなくなってしまうものが、牟田鐡工で息を吹き返すのです。
牟田さん自身、妻からの依頼で、市販されていない掃除機のジョイント部分を自宅用にカスタマイズして製作し、とても喜ばれたそう。プライベートでもキャンプ用品や釣りで使うルアーを作ったりと、作りたいものが次々に浮かんでくるので、仕事をしながら「次は何を作ろう」と考えるのが楽しいのだとか。
仕事以外の時間なら、工場にある機械を自由に使ってもよいので、焼き鳥の焼き台をオリジナルで作った社員もいます。
市販品は、使用に伴い高温で錆びるところが出てきたら丸ごと買い換えなければならなくなります。しかし牟田さんの焚き火台は、錆びた部分の部品だけを交換できる仕様になっているのです。こんなふうに市販品にはない工夫が施されている、この焚き火台は家族にも好評です。
「ほしいものがあって市販品を探しても、思うようなものがない場合があります。そんな時、自分がほしいものはどういうものかをとことん考えて細部を決め、作るまでの工程を考えることがたまらなく楽しいんです」
「売っていなければ作ろう」常にそう思い、仕事でもプライベートでもアイデアを出していくクリエイティブな姿勢が牟田さんの信条であり、この仕事の醍醐味なのです。
新しくなったブルーの社屋で、次なるアイデアを練るのも楽しみの一つです。
(取材日2024年 2月9日)
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