あるばい

　白を基調としたナチュラルな調度で統一された明るい店内。中に入ると、すらりと長身で笑顔の素敵な女性が迎えてくれました。「コアフュール・ド・アキ」で美容師兼ヘアメイクも担当している萩尾陽子さんは、雑誌や広告のモデルとして福岡市で活躍後、実家のある大木町に戻り実家の美容室に携わって20年。モデル時代の経験を活かして、ブライダルのヘアメイクやウォーキング講師としても活動しています。
　母娘２代にわたり、街で親しまれる美容室は、いつも元気な女性たちの笑い声に包まれています。

カットやパーマはもちろん
着付けやナチュラルなヘアメイクも評判。

　オープンして50年という同店は、母と妹の玲子さん、陽子さんはじめスタッフ５名で切り盛りする美容室。「うちは、地域密着の美容室なんですよ」というだけあり、取材時も次々に馴染みのお客様が訪れ、カットやパーマをしてもらいながら楽しそうな会話がはずんでいました。カットを終えた人が、のんびりおしゃべりして帰っていくことも少なくないとか。こんなふうに、街中の美容室にはない、ゆっくりとした時間が流れているのも同店の魅力です。

　店内は、女性好みの白が基調。ところどころに可愛いタイルがはめ込まれていたり、ドライフラワーが飾られたり。ウェイティングスペースもゆったり。
　窓辺には、アクセサリーやヘア小物がずらりと並び、気に入ったものを購入できます。

　シャンプー1000円、カット3500円、カラー6500円〜、パーマ7500円〜と、価格設定も良心的。

　また、ブライダルのヘアメイクを得意としている同店では、着付け5500円〜、ヘアメイク3500円〜で、七五三や成人式の予約も随時受け付けています。まるで雑誌のモデルのように、ナチュラルでセンスの良い仕上がりになると、好評です。

スカウトされて美容師からモデルに
いつでもなんでも「楽しむ」のが私流。

　172cmのすらりとした長身の陽子さんは、美容師として福岡の美容院で修行していた時に、天神でスカウトされ、モデルとして第一線で活躍しながら、現場でメイクのテクニックを学んだという経歴の持ち主です。
　実は陽子さんは、高校時代にすでに通信教育でメイクの勉強をして免許を取得、卒業後はイベントコンパニオンとして働きつつ美容師の勉強もしていたという努力家でもあります。

　何の経験もないままに飛び込んだモデル業界でしたが、すぐに福岡県の観光キャンペーンのモデルに抜擢され、その後も企業パンフレットや雑誌モデルにと、スタートは順風満帆でした。それでも、「モデル業界に入った途端、周りの人がみんなキレイで打ちのめされました」と、はじめただらけだった当時を振り返ります。
　以来、常に自分の魅力は何なのかを問い続けた陽子さん。キレイなだけなら自分以外にもたくさんいるモデル業界で、他人とは違う自分だけの個性とは何なのか。それをとことん突き詰めた10年間だったといいます。

　チームで動くモデルの仕事は、周りと調和する謙虚さが大切です。しかし同時に、オーディションでは自分らしさを出せる強さと個性も必要。一見対極にあると思えるこの両方を意識しながら、陽子さんは、いつも褒められていた、その場の雰囲気をパッと明るくする笑顔を大事に、なんでも「楽しむ」ことを心がけるようになりました。

　モデルとして十分な経験を積んだ後、結婚・出産を機に大木町に戻って母とともに美容院を切り盛りするようになると、久留米のタウン誌「ノーマ・ジーン」の表紙モデルのヘアメイクを依頼されたり、田主丸のゲストハウス「GREEN HILL（グリーンヒル）」でブライダルのヘアメイクを担当する機会にも恵まれます。モデル時代にブライダル誌の専属モデルをしていたこともあるだけに、単にヘアメイクで花嫁をきれいに仕上げるだけでなく、経験を生かして、歩き方、姿勢、ドレスのさばき方など、美しく見える所作までアドバイスして、とても喜ばれました。

　これまで「自分らしさとは何なのか」ということを突き詰めながら経験してきた全てのことが、今の自分の糧となり、徐々に自分らしい仕事スタイルができ上がっていきました。

女性をもっと美しく！
遠方からわざわざ訪れる人も。

　現在は、妹の玲子さん、母、陽子さん、スタッフ２名の計５人で、幅広い世代の女性たちを美しくすることを楽しんでいる陽子さん。福岡で美容師として活躍していた玲子さんにカットしてもらうためにわざわざ電車に乗り継いで訪れる人がいたり、ブライダルで陽子さんにヘアメイクを担当してもらった新婦さんが、その後も子連れでカットに来てくれたり。店舗のつくり同様に明るい空気に満ちた美容室を目指して、毎日多くの人が訪れます。

　人間ウォッチングが大好きという陽子さんらしく、世の中の動きやトレンドに敏感で、最新の美容関連の講習を受けるなどして絶えず学び続けているので、アイデアや技術は枯渇することを知りません。地元はもちろん、遠方からも訪れる人が少なくないことにもうなずけます。

　女性をもっと美しく。そんな思いを込めて、今日も三人の笑顔がお客様を迎えてくれます。

（取材日2018年10月4日）