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大正時代に創業し、100年以上の歴史を持つ田中米穀店。米穀全般の取り扱い、米の生産から精米、販売まで全てを手がける、大木町の米の台所です。
米の生産から行なっている珍しい米穀店らしく、モットーは「農家と消費者の架け橋となり、美味しいお米を消費者に届けること」。
2023年、若い人たちにももっとお米を食べてもらいたいとの思いから、店舗を全面リニューアル。若き二人の後継者が、お米の未来を繋いでいきます。
自社で生産したお米をその場で精米
お米のことならなんでも相談できる。
大木町に4ha以上の農地を所有し、自社で米を作り、生産から流通まで全てを商う田中米穀店。長年の販売実績と信頼から、地元の大型スーパー12店舗にも自社配達しています。
同店で扱っているお米は、大木町や筑後エリアを中心とした福岡県産米「ヒノヒカリ」「元気つくし」「夢つくし」の三種類。自社で生産する米や契約農家に米作りを依頼して籾のまま納品してもらった自慢の米です。
ここを訪れて購入する時には、「どれがオススメですか?」と訊けば、用途や好み、季節によって様々にアドバイスしてもらえるのです。
「通常、お米は新米が美味しいと思われがちですが、実はお米が本当に美味しいのは味が馴染んできた1〜2月頃なんですよ」と、社長の田中宏明さん。どの品種が良いというよりは、品種によって美味しい時期もそれぞれ異なるのだとか。せっかくなので、教えてもらいながらその時々に一番美味しい品種を買いたいものです。
また、5kgから10kg単位で必要な量だけお米を購入できるのも魅力。ライフスタイルにあわせてお米を選び、買えるのです。
その後、自社で新しく導入した大型乾燥機で乾燥から玄米にするまでの作業をこなし、品質検査した米を精米、加工。それから、米屋、スーパー、一般消費者にいたるまで広く販売しているのです。
「生産から自社で手がけているから、誰がどのようにして作っているのか、いわゆる〈米の素性〉までわかっているのが我が社の強みだと思っています。また、全てを自社で一括して行い中間業者が入らないため、良心的な価格で小売りできるのも喜ばれる要因ではないでしょうか」と、田中さんは控えめながらも誇りを持って語ります。
作り手をきちんとわかった上で扱う米だから、自社の米についてはいつでも自信を持って説明できるといいます。食の安全に注目が集まる昨今、これほど心強いことはありません。
若い人にもっとお米を食べてもらいたい!
休憩スペースもある店舗を、若い力でデザイン。
さて、そんな田中米穀店が2023年に大きくリニューアルしました。運び込まれた生籾の乾燥から出荷までの作業を行うライスセンターや。倉庫に併設された通り沿いのショップを全面改装して、本格的なショップをオープンしたのです。
このリニューアルに携わったのは、田中社長の長男である田中宏治さんと、姉の横山絵梨さん。宏治さんは、大学卒業後、海外の農業を学ぶためにオーストラリアへ留学していましたが、コロナ禍で2020年に帰国し、以来本格的に家業に携わることになりました。まず、宏治さんは帰国後すぐに農業用ドローン操縦の資格を取得。
スマート農業の一環として、新たにドローンによる農薬散布を始めるなど、新たな農業の可能性に挑戦しています。
一方、姉の絵梨さんは、子どもの頃からお店の手伝いをしていたというだけあり、お店に対する愛着は人一倍。米粉マイスターの資格も持つ、筋金入りのお米好きです。宏治さんの帰国をタイミングに、二人で若い人にもっとお米を食べてもらうにはどうしたら良いかを、考え始めました。
田中米穀店の客層は高齢者が多く、昨今の若者の米離れは顕著です。まずは、老若男女誰でも気軽に立ち寄れる店舗をつくろうと、デザインセンス抜群の宏治さんが細部にまでこだわって、お店を改装することになったのでした。
新しい店内に入ると、精米したお米を買えるカウンターと、商品スペース、そしてその奥にはコーヒー(無料)を飲みながらくつろげるスペースもあります。
事務所スペースはすりガラスの向こう側にあり、店舗と一体化している造りになっています。イベント時にはこのすりガラスの扉を開け放って一つの広い空間ができるというから、これからここでどんなことができるのか、アイデアが膨らんできます。
かわいい子どもがごはんを頬張っているような店のロゴは、愛嬌がありながらもスタイリッシュ。店のアイコンとして商品にも印刷されています。
人気のもち粉や、小分けのお米のパッケージも一新しました。例えば、以前はもち粉はシンプルにビニールに入った状態で販売していましたが、今はこの通り。おしゃれなデザインと、中身が見えつつ保存しやすく実用的なジッパー付きです。
一方では、ネイルをしている女性が増えたことから、近年では無洗米のニーズが高まったことを考慮に入れ、無洗米専用の精米機を新たに導入。精米プラントを店舗から見えるように配置し、精米プラントと店舗を一体化させることにより、生産から流通まで行うという同社の特徴を、あますことなく活かすことができます。
店頭で好きなお米を選び、目の前で精米してもらい、精米仕立てのお米を持ち帰れるので、取材中もお客様がたえることない繁盛ぶり。注文して5分程度で精米完了です。
また、いろんなお米を少しずつ食べ比べして好みのお米を選べるように、2合ずつのパックもあります。
値段も260円〜300円(2合)と手軽で、コロンとしたフォルムがかわいいので、ちょっとしたお土産にも喜ばれそう。
いつも食べているお米に限らず、季節ごと、その時々におすすめのお米も教えてもらえるので、気軽に聞いてみるといいですよ。新たな発見があるかもしれません。
##小見出し③
米粉を使ったお菓子を販売したりマルシェも開催
誰でも集える町のコミュニティスペースになりたい。
##本文
米粉マイスターである絵梨さんによると、米粉にも種類がいろいろあり、作るものによって使う米粉も変わってくるのだそう。いろいろな粗さがあり、水分の吸収率も違うから、米粉といっても一概に一括りにできない奥の深さがあります。絵梨さんは今後、お店の扱う米を使った米粉で、クッキーやシフォンケーキを販売する予定です。
試食したクッキーは、お菓子に最適な米粉に、ココナツオイル、きび砂糖、ココアパウダー、健康成分をそのまま残したローチョコと、厳選した素材を使って作られ、とてもやさしい味わい。チョコレートを使用しているのに甘さ控えめで、パクパク食べても罪悪感のないクッキーです。
自身も子育て中で、子どもたちに安心安全なお菓子を食べさせたいという絵梨さんの想いがぎゅっと詰まっているのです。小麦粉アレルギーのあるお子さんにも安心して食べてもらえます。
スイーツ類は今後種類を増やし、店内で購入できるようになりますので、お楽しみに。
「地元の人はもちろん町外からもいろんな人に来てもらいたいから、今後はここでマルシェや試食会も開催したいと考えています。こうした取り組みを通して、お米の消費を上げたいんです」と意欲を語る絵梨さん。次は三つ星、五つ星の米粉マイスターの資格取得を目指して、邁進中です。
「井の中の蛙にならないように、この場所を基点にたくさんの人に会って話を聞き、もっと先に進みたいですね。いつか、海外展開して外国の人にもこのお店の美味しいお米を食べてもらうことが夢です。お米が大好きな娘は、大きくなったらお米屋さんになると、今から言っているんですよ。」
家族で営むお米のコミュニティ。創業者から数えて4代目になる宏治さんと絵梨さん。二人の若い力をエネルギーに、新たな店舗で田中米穀店は大きく始動し始めました。
(取材日2023年 12月23日)
モチ粉も大人気です!
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・大木町商工会会員の店