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九州産の乾物と八女茶を中心に卸している「かねいち物産」。販路は、九州はもとより、西日本全域に渡ります。しかも、同社で取り扱っているものは99%が国産。
「良いものをできるだけリーズナブルに仕入れたいので、九州各地に直接足を運んで、自分たちの目にかなったものだけを仕入れます。納得できなければ買わない心づもりで行くんです。だから、扱う商品には自信がありますよ」と胸を張る、社長の井上一治さん。
目先のことではなく、常に半年先、一年先を見据えて仕入れをし、貯蔵しておくことでリスクを分散させ、価格を安定させているので、問屋からの信頼も厚いのだとか。
元々は関西で企業のサラリーマンをしていた井上さん。「給料は良かったけれどやりがいが感じられなかった」と、退職して実家のあった八女市に帰郷。お茶の産地である八女で小学生の頃から茶摘みを手伝っていた経験を活かして八女茶の販売をしようと思っていたところ、縁あって熊本の乾物店で修行することになりました。奇しくも八女は椎茸の産地でもあったため乾物店で学ぶことが多く、3年間と期間を決め、懸命に修行をして独立。柳川の筑後中部魚市場に念願の店舗を出したのは、25歳の時でした。
初めてのことだらけの商売でしたが、「人の縁に支えられた」という井上さん。市場に出店したことで信用を得ることができ、徐々に売り上げは伸びていきます。その後、家族経営の小規模スーパーマーケットやギフト店の進物などにも進出。「良いものを、どこよりも安く」をモットーに展開するうちに販路は次第に北陸、近畿圏にまで広がっていき、今では、同エリアの飲食店や学校給食に乾物が採用されるまでに成長しました。現在は、頼もしい後継者である息子の晃徳さんと二人三脚で、会社を切り盛りしています。
穏やかな物腰の井上さんですが、企業理念を訊くと、「商品づくりには人柄が出るんですよ」と、力強い一言。かねいち物産が創業当初から心掛けてきたことは、「真面目な商品づくり」。それは、とりもなおさず良いものを安く、ごまかさずに作り、お客様に喜んでもうということ。だから、自らのことを商売人であり、職人でもあるといいます。
例えば、仕入れた乾物は、手作業で規格に合った選別をし、いつでも均一でブレない品質のものを届けるのが同社の鉄則。その上で、椎茸の価格は市場より2割以上安く設定。八女茶も、上質のものを専門店よりも購入しやすい良心的な価格で提供しています。売り上げはあまり考えないという井上さんですが、そうした40年にわたる誠実な姿勢が評価され、利益は後からついてくるようになりました。
また、卸売の他に、同社の商品は、自社店舗や道の駅でも直売しているので、お中元やお歳暮、返礼品として利用した人が品質の良さを知り、さらにリピートするというふうに、ファンを増やしています。
主力商品の九州産椎茸、八女茶の他に、国産きくらげや、オリジナル商品も好調です。8種類の薬草をブレンドした「養生茶」は、高血圧や胃腸を整えられるよう、自身も胃腸が弱い社長が自らブレンドした自信作。また、長崎産椎茸、大木町産のシメジとエノキを乾燥させてスライスした「きのこ三昧」は、料理に手軽に使えると喜ばれています。
予算に応じて、これらの商品を組み合わせたギフトも作れるので、大切な人に何かを送りたいという時は、ぜひ気軽に店舗に足を運んでみてください。
地元のおいしさをギュッと詰めこんだ、特別な贈り物が完成します。
(取材日2020年12月8日)
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